エンジニアへWebディレクターから転向した理由 – キャリア・チェンジで思うこと

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キャリアについて書こうと思います。

まず先にいうと、私は永らく無計画野郎として生きていました。

20代の頃は小売業、営業職に就き、30代はIT業界に転職して、Webディレクターからプログラマーとなり、インフラエンジニアも経験し、40代になって起業しました。

一貫性は全く無いようです。

今回は、キャリアと給与、可視化しやすい価値、というテーマでぽろぽろと私見を述べてみます。

残念ながら見えない価値はすぐには売れない – Webディレクターからプログラマー

営業職をしていたので、「喋ることはできる」というところから、IT業界への転職で、まずはWebディレクターになりました。
ちょうど30歳になったころです。

そもそもの転職動機は、不動産営業職でのストレスが大きかったことと、不動産営業を継続していくことでのキャリアアップの道筋が見えなかったこと、また、自身のことだけでなく、不動産業という市場についても不安があり、経済が上向かない限り、不動産取引の市場規模は変わらず、パイの奪い合いで消耗するしかないように思えたからというものでした。

ちょうど30歳になった年に、4ヶ月ぐらいHTMLやPhotoShopを教えてくれるスクールに通ったんです。今考えると、ホント無くてもよかったんじゃね?というスクール期間でした。
いやま、ホントドシロウトだったので、何から手をつけたらいいのかわからなかったので、それしか選択肢が浮かばなかったんですけども。

それで、Webディレクターになります。

給与はスズメの涙のWebディレクターでした

給与はスズメの涙というやつでした。ホント辛かった。。。30歳なのに月給20万円を切ってましたから。ただ全くの未経験の仕事でしたから仕方ないなと思っていました。
手取り16万円ぐらいだったような記憶ですが。。

ただ、誤解の無いように書いておくと、かなり特殊な給与水準だろうと思います。
一般企業で30歳前後でWebディレクターをされている方はもっと給与をもらっていると思います。
もう潰れた製作会社で、数人の零細会社だったので、こんな水準だったということです。
ただ、自動車関連部品の有名メーカーさんの公式ディレクションに携わることができたので、それが救いの仕事ではありました。

アライヘルメットさんや、タカタさん(昨今はかなりまずいことになっていますが)に取材したり、オートサロンやモーターショーに行ったり、モテギや富士スピードウェイで取材したり。
あるファンイベントでは服部選手のマシンに同乗してモテギのコース走行を取材させてもらえると、現地で急遽メーカーさんから提案いただいたのですが、びびって(コース走行ではなく、有名人を取材することにビビって)、辞退してしまった記憶とか、いろいろと。

それで、Webディレクターは2年だけ務めて、そこからプログラマーに転向して行きます。
(いろいろなことはありますが、全て端折って)

当時(2001、2年ごろですかね?)、Webディレクターをしながら思っていたのは、これ、給料上がるのかなぁ?という想いでした。

転職して、給料を上げれるかなぁ?という疑問でした。

Webディレクターのままで、転職して、給料を上げれるかなぁ?

Webディレクター業にしろマネージメントにしろ、[上手い/下手][業績を上げれる/業績を出せない]って、なかなか判断できないように思いました。
仮に、自分が優れたWebディレクターだったとしても、それをどうアピールできるのか、職務経歴書で表現できるのかわからなかったのですね。

今も交流会でマーケッターやWebディレクターとお会いすることがありますが、正直、その方の実力は測れないです。

もっともなことをおっしゃるなぁとか、知識が豊富だなぁとか思ってもですね、じゃぁ、実際に結果を出せる人材かどうか判断できないんですよね。

Webディレクターにしてもマーケッターにしても、別に資格が必要なわけではありませんし、その人物が有用だとか、実力があるだとかを明確に判断できる評価指標はありません。
あるとすれば、その方の実績、成果、どれだけサービスの利益を生んだかということでしょうが、多くの組織ではチームの協力の上で成立した成果であって、素晴らしい実績が残っていたとしても、そのディレクターがすごかったのか、たまたまチームとの相性がよかっただけで、他の組織に移った際に、同様な再現性を持って成果に貢献するかということはわからないと思うのですよね。

Webディレクター時代に、この職業は売りにくい職業じゃないかと思ったんですね。

ディレクションやマネジメント能力が主となる職種であったり、企画力を問われる職種は、人材の市場価値、マーケットバリューをアピールしづらいのではないかと考えました。

デザイナーも近いところはあるかもしれません。

グラフィックデザイナーさんの場合は実績が目に見えるのでわかりやすいようですが、しかし、やはりそれでも、じゃぁ、そのデザインでいくら儲かったの?ということはわかりようがない気がしています。

プログラマーは評価しやすい?

一方で、プログラマーというのは、要求通りのものをつくれば良くて、それが要求通りであれば、そのシステムが売れたかどうかは関係ないと当時は考えていました。
だって、売れなかったとしたら、プログラマーが悪いのではなくて、企画した人間、機能設計をした人間が悪いのですから(と思っていた)。
もしくはプログラマーをうまくマネジメントできなかった人間が悪いのです。

そうしてみると、プログラマーって、お気楽でいいポジションだなと思ったんですね。

プログラマーはビジネスにコミットする必要は無いと考えました。
ただの兵隊ですから。戦に勝てなかったとしたら、指揮を執った将軍が悪いんです。

そして、何よりも、プログラマーは指標がわかりやすいんです。
技術職ですから、この技術ができる、この資格を持っているということをアピールできます。

もっとわかりやすく言うと、プログラマーという職種は多くの企業では「能力給」なんです。

実績給の職種よりも、能力給の職種。対人ではなく、単独でスキルアップ可能なプログラマー(エンジニア)

営業や、ディレクターや、デザイナーなど、サッカーに例えるならフォワードやミッドフィルダーといったポジションの職種は、点を入れてナンボ、勝ちに貢献してナンボだと思います。
それはつまり実績給です。

では実績があれば、確実に高く評価されるかというと、そうでもないかもしれません。いくら実績を過去に出したからといって、永続的に実績をだせる確証はありません。そもそもチームが良かったのであって、本人が特別に優秀だったわけでもないかもしれません。
一つの企業で継続的に仕事をするのでなく、企業を渡り歩いてキャリアアップを目指すという道が想像出来ませんでした。

一方、プログラマーやエンジニアは体系化された知識や技術をうりにしています。それは環境が変わってもある一定の結果を期待できるとも言えます。

プログラマーやエンジニアは、その技術や知見を評価してもらえる能力給評価なのです。

故に、Webディレクターを続けるよりも、手に職を持つプログラマーのほうが確実に収入をあげることができるはず、と、十数年前の私はこう結論に至りました。

エンジニアはWebディレクターに比較してストレスが少ない?

また、ディレクターやマネジメントは、対人の渉外も多くストレスフルです。しかし、エンジニアはそのほとんどが一人作業であって、対人のストレスが少なく、またスキルを磨くのに誰かの助けは不用で、独学も可能です。
Webディレクターに較べて圧倒的にマイペースで仕事ができる環境で、単独で成長でき、周囲からの邪魔が入りにくい職種だと考えました。

こうした理由から、私はプログラマー転向への道を十数年前に選びました。
実際、ありがたいことに収入は右肩上がりとなりました。
(そりゃま、大抵の仕事なら月収16万円よりは上がりますね。。)

エンジニア生活を振り返りつつ、Webディレクターからの転向について暫定まとめ

まず、転向を目指した当初は以下のように考えていました。

  1. エンジニアのほうが、煩わしいことから解放されて楽そう
  2. Webディレクターよりエンジニアのほうが売りやすい
  3. スキルアップすれば、次第に収入は上がる

では、エンジニアに転向して、10年以上経過した今、これらについてどう思うかというと。

エンジニアのほうが、煩わしいことから解放されて楽そう?

ビジネスにコミットしないで済むポジションで仕事ができるなら、エンジニアって超絶、楽。でした。
大変な不動産営業の日々とか、歩合制による不安定な収入による不安や、時間に追われるディレクターの仕事からしたら、本当に良い環境。

但し、スケジュールがタイトだったり、出来の悪いPM/PLの下についたら、若干面倒にはなる。
でも、どんな状況になろうと、不動産売買の営業よりはメンタル的には楽。
ただ、それも案件の金額や、責任範囲やポジションで変動する。

Webディレクターよりエンジニアのほうが売りやすい?

ディレクターとして求職活動は経験しなかったし、十数年前のWebディレクターと、今のWebディレクターでは、スキルセットや、周辺環境も全く違うので、私見を述べるまでの知見を持っていないのですが、エンジニアで良かったのだろうなという感慨はあります。
昨今のWeb周辺のめまぐるしい環境の中で、安定的、且つ継続的に成果を上げられるWebディレクターに自分は成り得ただろうかと自問する時、自信は無いなぁと思うのです。
きっとなんとなく勉強して、なんとなく成果を上げて、なんとなく成長したかもと感じる程度だったのではないかと思うのです。

エンジニアはスキルアップすれば、次第に収入は上がる?

技術に対する適正、知的好奇心があるなら自然にスキルアップするし、ある程度収入は上げられるとは思います。
ただ、意外と限界が来るのも早いかなという気はしました。
エンジニアを重用していたり、事業責任者にエンジニアを置くような企業を除くと、所詮兵隊の給与ですから、サラリーマンであれば、1000万円を超えるなんていうことはまず無いと思います。
また、日本でのWebエンジニアの賃金は米国に比べるとだいぶ低いようです。

Webディレクターからエンジニアに転向して十数年が過ぎた感慨

収入や将来性を考えてキャリアを考えた時、Webディレクターがいいか、エンジニアがいいのか、そんなことに悩み、転向したのですが、正直、今となってはどうでも良いレベルの議論だと思います。

というのも、キャリアがどうのこうのと考える前に、最も大事なこと、「自分が人生に何を求めるか」ということを明確にしていなければ、キャリアなど考えても大して意味が無いと考えるからです。

仕事も、キャリアも、自身の生活を支える『手段』でしかありません。
そして、目的、目標によって、最適な手段が変わるのは当然のことです。
もし、あなたが自身の人生に対して求めているか明確で無ければ、どのキャリアが適切か、どの手段が適切かという議論に答えはありません。仮に、人生に何かを求めたいと考えているならば、キャリアを考える前に人生のメンター探しをするなり、これまでに暮らしたことのない環境で、刺激を求めるべきなのかもしれません。

もし、趣味を優先して、慎ましく生きても構わないという価値観なら、エンジニアは結構おすすめです。
もし、将来的にスタートアップをしたいというなら、ディレクター業とエンジニア業をバランスよく、そしてエンジニア業は技術領域をしぼってもいいかもしれません。

いずれにしても、大事なのはキャリアという手段ではなく、人生に求める何かを明らかにすることだということ、それが、私がWebディレクターからエンジニアに転向して、キャリアチェンジで思うことです。

Webディレクターからエンジニアに転向して十数年、起業して3年経って思うこと。

元々このエントリーは起業してから1年弱の頃に書いたものですが、それから2年近く経て、それなりに閲覧される方が多いので、2017年現在の概観も含め、加筆修正しています。

特に、加筆したい1点をここに記しますが、上述では、「エンジニアは稼ぎ易く、楽な職種」ではないかといった趣旨の内容を書いてますが、起業して3年が経過しまして、原則そうではあるけれど、幾つか注意しなければならないと加筆します。

この世には2種類の人間しかいない。使える奴と使えない奴だ。使えないエンジニア、使えないWebディレクターになってはいけない

まず、起業して3年が経つのですが、それは長い従業員経験(よくも悪くも待っていればお給金が貰える立場)から経済的自立を強く考える立ち位置(零細企業の経営者)になることで、幾つかの変化が私の中に生じました。それらについては割愛しますが、上述していた考えにもやはり変化がありました。

今でも、一面においては、Webディレクターよりエンジニアのほうが、「総じて楽に稼げる」と思っていまして、大して人生を深く考えるつもりがない方や、無目的な方にはエンジニア職をお勧めしておきます。特に事業にコミットせずに労働できる環境があればこれほど楽な職場も無いだろうと思います。
但し、それは40歳までという条件があります。

私は自社サービスを作りたくて起業しましたが、まだ事業として確立出来てはいないので、ほぼ生活労働として、クライアント先に常駐してエンジニア職の業務を行っています。

数年前まではエンジニア35歳定年説などあまり意味が無いと思っていたのですが、ここ最近は遠視(老眼ですね)や、一緒に働いているメンバーの名前が咄嗟に思い出せない(記憶力の低下)など、一つ一つは些細ながら、自身の老化現象を目の当たりにする日々と直面しています。来る日も来る日も自身の老化というものを意識せざるを得ない毎日となりますと、さすがに「いつまでエンジニアとして現役で過ごせるだろうか?」と思わずにはいられません。(もちろん世の中には50を過ぎてもエンジニアとして現役という方も多いのですが、自分はできそうにありません)

正直、40歳を超えて、人並みの成果しか出せないエンジニアなど、価値は高くありません。
多少、技術や経験に劣りがあっても、若くノビシロがあり、素直なエンジニアのほうが期待価値は高いというものです。

単純に稼ぎたいなら、40歳までは、エンジニアで良いと思いますが、将来を考えるなら、優秀なエンジニアを目指すと良いのではないでしょうか。

以上、起業から3年後の概観加筆でした。

ありがとうございました。

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