優秀なエンジニアの定義について考える – 其の参 – 優秀さを見極める5つの質問?

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前回投稿の優秀なエンジニアの定義について考える – 其の弐 – 10の共通点?に引き続き優秀なエンジニアとは何か、優秀な人材とは何かについて考えて行きたいと思います。

繰り返しになりますが、私自身が優秀なエンジニアというわけではなく、その定義に対して詳しいとは限らないのですが、巷には眉唾ものの「優秀なエンジニアの定義」論も存在するのではないかということを論ずるために、検索上位の記事から、一つずつ読み進めて個人的な感想を述べるシリーズ2回目となります。

これもまた繰り返しですが、批判ではなく、優秀なエンジニア論の記事についての批評を心がけるものです。とはいえ、目指すゴールに必ずしも辿りつけるわけでもないので、予めご容赦ください。

さて、今回のターゲットは検索順位2位の、株式会社プロコミットさんの記事で、「面接で活かせる!優秀なエンジニアを見極める5つの質問」になります。
前回取り上げた記事に比べて、誰向けの内容かがわかりやすいですし、ビジネスユーザーを意識しているはずなのでそれなりの品質も見込めそうな気がしますね。

優秀なエンジニアを見極める質問とやらを見させてもらおうか

結論から先に書きますと、「内容は悪くないけど、もうちょっと深掘りが欲しい記事」であり、「読者ターゲットが個人的には微妙」なので、総論としては「イマイチ価値がない記事」といった評価とさせていただきました。
残念。
これは、前回の記事でも似たようなことを書いたのですが、要は読了後に何が残るか、何を得たかということが重要だと思いますし、それが記事の価値だと捉えています。
「なるほど!」だったり「参考に実践してみよう!」といったものです。

さて、今回の内容はどうだったかというと、まず、私からするとほぼ何も発見が無い記事でした。ただ、私はこの記事が想定する対象者ではないので、そのこと自体は問題ではありません。
この記事を読みますと、その文脈から想像して、対象読者は「非エンジニア、エンジニア経験無しの人事担当者」であり、それも「エンジニア採用において経験豊富とはいえない」といった人物像が想定できます。

まずここで、物申したい点があります。
この上述のように想定した読者ですが、私からすると、「しょーもない」人物像です。一言で言えば、成果を上げることができそうにない人物像です。
近年のエンジニア採用を担当する者が、さっとWebで検索して何かを得ようなど、愚かにもほどがある行為というものです。

一口にエンジニアと言っても、その対象となる業界は非常に広いわけではあります。未だに存在するコボラーから、組み込み系というトラディショナルな業界から、Web系、機械学習やAI、ビッグデータや顧客分析などなど、その中でも人気の業界であれば、そうそう簡単にエンジニア採用がすすむものではないというのが、見聞きする現状です。
実際、私がこれまでお手伝いしてきた企業さんで、エンジニア採用に苦労していないところを見たことがありません。

しかも、応募が集中するだろう名のしれたベンチャーやIT企業の人事担当者の方々が、協力しあって採用イベントや人事イベントを行っているぐらいの状況が存在するのが近年のエンジニア採用です。
「エンジニア採用において経験豊富とはいえない」「非エンジニアの人事担当者」などという人物は、フリーザーの前に知らずに飛び出したクリリンぐらいに、全く役に立たない人物なのです。
一つの成果も期待できないですし、そんな人物を担当者に置く時点で、その企業のリテラシーの低さが手に負えない状況なのです。

できることならば、記事を読んだ後に、その担当者が上司なり経営者に対して、ものすごい勢いで、自分を採用担当から外すべきだーっ!と絶叫しながら報告するぐらいの結果に結びつくの記事でないと、社会に対して価値など提供できないのです。

優秀なエンジニアの見極めが、結局現場任せという記事内容

さて、前回同様、記事を読むことで感じた苛立ちによる、書き手に対する批評が先行してしまいましたが、そろそろ内容について述べたいと思います。

先に、内容のまずい点を述べてしまいますが、この記事では面接において5つの質問をしなさいと書いているのですが、結局のところ、現場の考えがあるから、現場の人間と相談しなさいといったコンテキストに落ち着いています。

これ、ダメですよね。全然ダメ。

まず、システム開発でもそうですが、現場のユーザーに対するヒアリングは非常に重要ではありますが、必ずしもユーザーの意見が正しいとは限りません。むしろ多くの場合、ユーザー自身が自らのニーズやシーズといったものを分析できておらず、また全く把握できておらず、表面的な不満を述べるだけといったことがしばしば起こりえます。
よく言われるのが、needでなくwantをユーザーは回答するというものです。

別な言い方をすれば、要件ではなく、実装方法、要求仕様ばかり着目してしまい、本質的な要件への焦点を阻害する現象です。

往々にしてユーザーは自らの視点、いわば部分最適解しか考えておらず、システム設計者が行うべき全体最適のための要件定義にとっては、考慮しておくべき一つの要素でしかないと捉えるべきです。

組織と優秀なエンジニアとチームビルディングと人事採用と

ユーザーは大抵の場合、システムを構築すること、それを運用することにおいては素人であり、それらに対する考慮が全くなされません。

これを組織と人事採用で考えるならば、自社内のエンジニア部門というのは、会社組織というシステムの一部であると同時に、会社を利用するユーザーでもあります。
構成要素であり、ユーザーです。
そして、視座の高い人物でない限り、彼、彼女らが思考の範囲として捉えるのは、自身の仕事の枠であり、良くてチームビルディングであり、企業全体の組織としての在り方、理想のシステム像、組織像にまで思いを馳せて現状を分析したり、設計するというミッションを意識することはありません。

人事採用担当者というのは、組織の構成要素を調達する部門であり、その調達した人物と既存のメンバーとのケミストリーによって、組織を成長させるという大変大きな役割を担うわけですから、当然のように自社のあるべき目指す組織像を持ち、そのために必要となる要素を持った人物を採用しなければなりません。
ただただ単純に、現場が求める部分最適解をそのまま受け入れて調達を繰り返せば、会社全体の最適化という視点が抜け落ちた歪でバランスの欠如した組織を作り上げてしまい、結果として会社の成長を阻害し、その与えられた役割に対して真逆の、本末転倒な結果を招きかねません。

私の人事採用経験というと、店舗責任者時代にアルバイト採用のための面接をしたぐらいしか無く、人事採用担当についてあれこれ論じる資格は無いでしょう。
しかし、国民の皆様に訴えたいのは、人事採用担当というのは、カラダづくりをする部署であり、カラダについてのノウハウとビジョンを持ち合わせていなければ、より良い組織づくりなどできないのであって、こうした立場の人間が、最終的には現場にイニシアチブを渡すことを推奨する記事などは最低だと考えているわけです。

はっきり言って、現場にイニシアチブを渡すのなら、そもそも人事採用担当者など置かず、現場に採用を委ねれば良いのです。

もうそろそろ優秀なエンジニアを見極める5つの質問について触れてみましょう

さて、そろそろ、いい加減に対象記事より5つの質問を紹介しましょう。

  1. これだけは譲れない「こだわり」を教えてください。
  2. AppleとGoogleとMicrosoft、どの企業が好きですか?もしくは他に好きなIT系企業はありますか?
  3. あなたにとって質の良いシステムの定義とは?
  4. 直近1年で読んだ技術本と、非技術本で印象に残った本を1つずつあげてください。
  5. 過去に担当したシステムを図解して、私にもわかるように説明ください。

上記の5つが、優秀なエンジニアを見極める質問例です。では、これらの質問で何が把握できるのか、具体的に見ていきましょう。

引用元
https://www.procommit.co.jp/recruiter/support/column/5-questions-to-identify-an-excellent-engineer

この説明の後、それぞれの質問がどのような意味を持つかという点を対象記事では述べています。

解説も理由も特に違和感のあるものはありません。
ただ、前回投稿の優秀なエンジニアの定義について考える – 其の弐 – 10の共通点?でも指摘しましたが、大半がビジネスパーソンとして必要なことであって、特別「優秀なエンジニア」について語ったものではないということです。

例えば、これを営業担当者への5つの質問に置き換えてみたいと思います。

  1. これだけは譲れない「こだわり」を教えてください。
  2. AppleとGoogleとMicrosoft、どの企業が好きですか?もしくは他に好きな企業はありますか?
  3. あなたにとって質の良い営業の定義とは?
  4. 直近1年で読んだ営業に関する実務書と、非実務書で印象に残った本を1つずつあげてください。
  5.  過去の難しかった成約について、成約までの経緯を図解して、私にもわかるように説明ください。

なんだか、あまり変わらない気がしますね。
中には、営業職とすると、少し違和感の残る質問事項も出来てしまいましたが、概ねエンジニアに対する質問と変わり映えしません。

これはですね、つまり、答えはこれから述べる2つのどちらかではないかと思うのです。

「汎用的で、ある意味、あまり深掘りしていない記事である。」

「大したことが書かれていない」

なんというか、そもそも、「優秀なエンジニア」とは何か、その構成要素について、構造的、または体系的な分析も無いままに語られている記事は、その時点で非網羅的であり、表層的なのかもしれません。
まぁそろそろ批評も終わりにします。

優秀なエンジニアを見極める質問に関する批評まとめ

ここまで述べてきたとおり、特別価値の高い記事というわけではありませんでした。
前回と異なり採用担当者向けの内容ではありましたが、所詮「自社サービスを広報するためのマーケティング記事」という私の理解です。

次回は検索3番目のサイトについて論じる予定ですが、正直、1位2位がこんな感じだと、辟易しますね。
ま、でもこんな調子で30位まで読み進めたいと実は思っています。
中にはキラリと光る記事があると思いますので。

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